★ゆーふるやー★
             
(2000/11/20)



身辺に「お銭湯愛好家」がいる。ただの風呂屋に「お」を付けてしまうあたり、

中途半端な愛好家ではない。とにかく、銭湯に行って来た日は機嫌がよい。

テバは、どちらかといえばシャワーで結構、という亜熱帯ピープルだから、

その辺の、お銭湯への愛の深さはよく判らない。まあ、どちらかというなら、

浮世床は男、浮世風呂は女、というテリトリーが、昔からあったのかもしれない。


雨が降っても傘をささない、自宅の風呂桶は断水時の非常用貯水槽、という

嘉利吉の土地に住みながら、不覚にも、銭湯の研究という重要テーマを

看過していた。最近流行の、サウナを筆頭に、薬草湯、泡風呂、泥んこ湯、

滝の打たせ湯等々を、種々備えた、豪華レジャー施設としての「健康ランド」、

「温泉ランド」の類ではない。庶民が、日常の衛生保持活動をするうえで、

不可欠とする最小限の設備のみ備えた、昔ながらの、あの銭湯である。


「銭湯を知らない者は不幸である、なぜなら彼は、いつも垢まみれだから」、と

かのバルザックも言った。県庁には、環境衛生部とかいうセクションがある。

そこに行って調べる手もある。しかし、大騒ぎになったらコトである。そこで、

早速、タウンページを引っ張り出す。残念ながら「沖縄県本島」版しかない。

離島、先島の実態調査は、後日に譲ることとしよう。早速「銭湯」のページを捜す。

「温泉浴場」や「ヘルスセンター」や「・・ランド」などは、無視、無視、パス、パス。


あった、あった、「宣伝用品」と「セントラルヒーティング」に挟まれて「銭湯」が

あった。しかし、なんともはや、たった5軒であった。那覇市に3軒、糸満市と

沖縄市(昔のコザ市あたり)に各1軒、合計5軒である。120万を超える島民に

たった5軒、思いがけない少なさだった。ここまでくると、じっとしてはいられない。

実際、本当に営業しているのだろうか。血が騒ぐ。たった5軒しかないのだから、

全部確認することもできる。そうそう、今年は国勢調査の年でもあった。そこで、

順番に電話をかけていく。国勢調査と違い、国からの調査費補助は出ていない。

全額自腹である。


テ「もしもし、お風呂の営業は何時までですか。」

相「○○時までですよ。」


この場合は、OK。やっているわけだ。3軒あった。


テ「(同前)」

相「やってません。」

テ「あ、今日はお休みなんですか。」

相「いえ、もうやめたんです。」


これが、1軒あった。もう1軒は、


テ「(同前)」

相「もう、この電話は、ゆーふるやーじゃありませんよ。」


というわけで、計2軒が廃業していたのであった。大規模かつ綿密な調査の結果、

本島の銭湯は、総計3軒であった。やめていたのは、いずれも那覇市だったので、

各市に1軒ずつが営業中ということになる。40万人に1軒、多いのか少ないのか?

ところで、「ゆーふるやー」とは、どうも「湯風呂屋」のことらしい。しかし、「湯」でない

「風呂屋」もあるのだろうか。本研究の第二部は、その辺が課題になりそうである。


点睛人後】 …… (ヒトミヲウツコト、ヒトニオクルル:後日の言い訳)

大変失礼いたしました。深くお詫び申し上げます。(しかし、地方語は難しい。)

「お風呂」が、当地では「ゆーふる」になるのでありました。テバの解釈、「ゆーふる」

=「湯」+「風呂」は、完膚無き間違いでありました。 …… m(_ _)m

従って、何の変哲もなく、「ゆーふるやー」=「ゆーふる」+「やー」

=「お風呂」+「屋」=「お風呂屋」、なのでありました。


あえて言い訳をさせていただくなら、沖縄語の音韻変化則では「O→U」ですから、

「OFURO」=「UFURU」、つまり「うふる」になるはずです。しかしながら何らかの

(言い安さ?)特例が働いて、さらに「Y」が付き、「YUFURU」になったのでしょね。


もっと、勉強せなアカン! 修行が足たらんゾ、おヌシ! …… m(_ _)m