【「活版印刷と誤植の歴史」より】

活版印刷の真の発明者が、グーテンベルクであるのか、あるいは彼が、単なる産業スパイであったのかについては、未だに議論の尽きないところである。いずれにせよ、あの時代のライン川流域ではあまたのギルドが、切磋琢磨をしていたことには間違いない。

ところで、この技術を、真のキリスト者としての情熱をもって駆使しようとした職人がいたらしい。彼は、誤植が全くないバイブルを造ろうと決心したのだ。果てしない回数の校正を繰り返し、それは、遂に完成したという。ところで、最初に献本された司教が、大変な発見をしてしまった。表紙の「BIBLE」が、何と、「BBLE」になっていたのだという。